「必ず当たる」という幻想
中山金杯・京都金杯の予想は、悔しい結果となってしまいました。
【中山金杯の予想】
◎ 10 ストロングタイタン
○ 1 シャイニープリンス
▲ 2 クラリティスカイ
☆ 9 カムフィー
【結果】
1着 ツクバアズマオー
2着 ▲クラリティスカイ
3着 ○シャイニープリンス
5着 ☆カムフィー
9着 ◎ストロングタイタン
【京都金杯の予想】
◎ 6 エアスピネル
○ 1 ブラックスピネル
▲ 14 アストラエンブレム
【結果】
1着 ◎エアスピネル
2着 ○ブラックスピネル
3着 フィエロ
4着 ▲アストラエンブレム
【当メルマガの収支】
+10,320円
中山では、穴馬に指定した11番人気カムフィーが、3着にハナ+クビの0.1秒差に迫る快走を見せてくれました。
やはり中山の短い直線では厳しかった。
それでも上がり3ハロンはメンバー中2位の記録ですから、感動しました。
ストロングタイタンは残念でした(詳しくは後述します)。
一方、京都金杯は、阪神カップを勝たせてくれたフィエロの恩を忘れなければ獲れたレースでした。
変則開催とはいえ中1週、斤量57.5kgを不安視してしまったのですが、54kgを背負ったアストラエンブレムに0.2秒先着したのですから、フィエロ自身が非常に強い証拠です。
毎週100~200円、三連複一点勝負を続けていると、1-2-4着といった非常に惜しい結果に泣くことがあります。
こんなとき、
「ああ、あの馬も買っていれば……」
という後悔は尽きません。
しかし、
「次こそは当てよう」
と買い目を手広く増やしてしまうと、たいがい負けがかさんでしまうものです。
JRAが控除率を定めている以上、賭ければ賭けるほど、理論上の回収率は8割前後に収束していく。
どんなに悔しい結果でも、不用意に傷口を広げてしまわないためには、自分が定めた出資額のルールを我慢強く守り続けることが肝要です。
中山金杯の予想で、私はこう書きました。
「もし直線で内が開いてツクバアズマオーに差されたら、そのときは運が悪かったと諦めるまで」
これは決して後ろ向きな予防線を張っているわけではありません。
100円一点という自分のルールを守り続けていくうえで、有力馬を思いきって消す局面では、真実、そういう決断を下さなければなりません。
おそらく競馬ファンの誰もが、馬券を買う瞬間、
「この予想は必ず当たる」
と信じていることでしょう。
誰にも見えるはずのない未来が見えたような、不思議な自信、高揚感があるはずです。
かく言う私も、一点買いにこだわるからこそ、じっくり時間をかけて考えに考え抜いて、
「これしかない」
という一手を絞り出しています。
ただ、その一方で、
「負けても仕方がない」
と、いつも自分に言い聞かせてもいます。
なぜなら、私は競馬を「ギャンブル」だとは思ってないからです。
畢竟、競馬とは「確率のゲーム」である。
それが私の持論です。
私からすれば、買い目を手広く増やすことは、増やした分だけ、
「必ず当てなければいけない」
義務が生じることにほかなりません。
当然です。当てるためにこそ、手を広げるのですから。
しかし、冷静に計算してみると、三連複一点の単純な的中率は、わずか0.12%(18頭立ての場合)。
そんな確率を4点、10点と増やしていっても、焼け石に水なのです。
馬券を買うときに頭を埋め尽くす、
「必ず当たる」
という考えは、幻想です。盲信です。今すぐ捨てるべきです。
競馬に絶対はありません。
展開ひとつで、着順はいかようにも千変万化します。
中山金杯を例にとれば、私はツクバアズマオーの前が開かない展開を予想しました。
しかし逆に、本命ストロングタイタンが少し控えて5番手からの競馬となり、芦毛のマイネルフロストの早い仕掛けと、絶好のタイミングで外を回したツクバアズマオーに蓋されてしまい、4コーナーで相当の苦戦を強いられてしまいました。
先行するには7枠10番からのコースロスもあったと、敗因を分析することはできます。
しかし、勝負は時の運。
ほんの数センチ、ほんのコンマ数秒のズレでも、結果は変わります。
私たち人間は神様ではないのですから、馬の筋肉の伸び縮み、蹄の踏み込み蹴り上げ、息の出し入れまで、精密に予測することなどできません。
せいぜい、過去の戦績を見て、馬の表面的な能力を相互に推し量るだけが関の山です。
だからこそ私は、考えうる無数の展開の一つにだけ網を張り、結果がその網をすり抜けてしまったら、もう諦めるほかないと割り切っています。
タイムマシンを発明できるならいざ知らず、あまりにも膨大な不確定要素を併せ呑んで競馬に挑む限りは、50レース、100レース、あるいは1年といった長いスパンの基準を設けて、自分なりに、
「きっと勝てる」
「仮に負けても痛くない」
と思える賭け方を、頭を使って探るべきです。
そうして辿りついたのが、私の場合は年間約50週、1週200円まで、最大損失約10,000円というルールなのでした。