穴党こそ1点買い
先週の大阪杯の結果は以下のとおり。
【予想】
◎ 7 サトノクラウン → 6着
○ 14 マカヒキ → 4着
▲ 13 ヤマカツエース → 3着
☆ 3 スズカデヴィアス → 11着
☆ 9 ディサイファ → 10着
【当連載の収支】
+8,110円
ステファノスの堅実な先行を見抜けなかったのは痛恨の極みですが、どの馬も頑張ってくれました。
☆を回した2頭は着順だけ見れば残念だったものの、人気よりは上に来ていたので、まあ良しとします。
ところで、G1ということで全頭解説をした挙げ句、5頭も印をつけた大阪杯でしたが、私が実際に購入したのは例によって三連複1点100円のみでした。
G1ともなると実力馬ばかりが顔を揃え、どれもこれも良く見えてしまいがちなので、いきおい買い目が増えてしまうという方も、読者の中には多くいらっしゃるかもしれません。
実際、G1に昇格した今年はJRAの売り上げも大幅に上がったとの由。
この勝負、まんまとJRAの「勝ち」というわけです。
だからこそ、私はいま一度、あえて主張したいと思います。
「勝つための最善の策とは、1点買いである」
と。
とりわけ、常に万馬券を狙う穴党の人こそ多点買いをすべきではないというのが、私の持論です。
人気薄を馬券に絡めると、当然、的中率は(統計的に見れば)下がるわけですから、1点だけでは心許ないかもしれません。
せっかく見つけた穴馬が2頭いても、両方を絡めたら的中率はさらに極端に落ちますから、いわゆる「ヒモ」として流したくなるのが人間の心情というものです。
しかし、そこで立ち止まって単純に考えてみてからでも遅くはないはずです。
ここで問題です。
1番人気‐2番人気の馬連と、1番人気‐3番人気の馬連の計2点を買う本命党の人がいたとします。
その隣に、10番人気‐11番人気の馬連と、10番人気‐12番人気の馬連の計2点を買う穴党の人がいたとします。
さて、どちらの馬券のほうが当たりやすいでしょうか?
答えは一目瞭然ですね。時に番狂わせが起こることもあるとはいえ、常識的に考えたら、本命党の人の馬券のほうがはるかに当たりやすいと思われます。
ここに、多点買いの意義があります。
つまり、多点買いとは、そのレースだけ(あるいは数レース単位の短いスパン)で「勝ちにいく」ための買い方です。
そのため、期待値が高ければ高いほど、個々の買い目の価値が上がる。
その価値の組み合わせによって、可能性の網を張り、結果を掬い上げていくわけです。
一方、本命党の多点買いは、それなりのリスクを伴います。
点数を増やせば増やすほど、そのぶん出資金が増えることになりますから、負けた時の損害額が大きくなるのです。
お金持ちであればあるほど有利な買い方ですので、あまり大きく負けられないはずの庶民が迂闊に手を出すと、大火傷を負いかねません。
また「勝ちにいく」ということは、「勝たねばならない」という義務が生ずるということ。
点数を増やして出資金が膨らむぶん、回収できなければ意味がないのです。
となると、負けた時の「焦り」が、さらなる負けを生み出しかねません。
本命党は、的中率が見込めるだけに連敗知らずでストレスフリーなように見えて、じつはある意味「業」を背負っているように私には見えます。
さて、翻って穴党の多点買いはどうか。
10番人気‐11番人気の馬連と、10番人気‐12番人気の馬連は、それぞれの期待値が人気筋に比べるとグッと下がります。
1点を2点に増やしたところで、焼け石に水、二階から目薬。
加算される的中率はたかが知れているわけです。
ましてや三連複ともなれば、1%に満たない確率を積み重ねていくシビアな世界。
あれもこれもと買い集めるだけ無駄だと、私は思っています。
買い目を1点に絞ることで、合成オッズを考える必要がなく、的中した時の破壊力を最大限に引き出すことができます。
たとえば100円1点で払い戻し1万円の馬券を的中させれば、倍率は100倍。
しかし三連複5頭ボックスで100円×10点を買っていた場合は、同じ買い目でも倍率はわずか10倍になってしまいます。
これでは、単勝10倍の馬1点に賭けているのと同じこと。
単勝万馬券のような破壊力やロマンはありません。
また、1点買いであれば数ヶ月、あるいは1年といった長いスパンで収支を考えればいいので、「外れる」ことに不思議と耐性がつきます。
「当てなければならない」という「業」から逃れられる穴党1点買いは、案外ストレスフリーな買い方なのです。