JRA賞馬事文化賞
キタサンブラックの年度代表馬受賞の陰で、あまり注目されてはいませんが、このほど「2016年度JRA賞馬事文化賞」が発表されました。
受賞したのは『さっ太の黒い子馬』という児童書です。
年間100冊以上を読む本好きの私にとって、JRA賞馬事文化賞といえば、なんといっても第1回の受賞作、宮本輝先生の『優駿』は忘れられません。
北海道の小さな牧場で生まれ、オラシオン〈祈り〉と名づけられた仔馬が、やがて憧れの日本ダービーに挑む物語。
競馬小説の金字塔と評しても過言ではありません。
映画化もされているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
「母の肉は子の肉、子の骨は母の骨なり」
血統のロマンたる競馬の業の深さを表すような言葉が胸を打ちます。
サラブレッドの三大始祖、
「ゴドルフィン・アラビアン」
「バイアリー・ターク」
「ダーレー・アラビアン」
の名も、私はこの小説で知りました。
今でもダービーの季節になると読み返したくなる名作です。
毎年、東京競馬場の坂を風のように駆け上がってくるダービー馬を見るたびに、小説のラストシーンを思い出してしまいます。
ところで、新潮文庫に収録された『優駿』ほどの名作ならば、全国の多くの書店で手に入れることができると思います。
しかし、本というのはいつでも購入できるようでいて、じつはかなり賞味期限の早い「ナマモノ」です。
日々、新刊が発売される書店では、棚の回転が驚くほど早い。
発売から一年ほど経って、
「欲しい」
と思ったときには、既に店頭から消えている――といったことも少なくありません。
幸い、今はネット書店などもあるので、古い本、マイナーな本も比較的入手しやすくなっています。
このブログでは、競馬の予想のみならず、競馬の文化も同時に楽しんでいくべく、時々オススメの本を紹介していきます。
少しでも「読みたい」と思われる本がありましたら、ぜひ足踏みせず、探して読んでみてください。