きさらぎ賞 三連複一本勝負
2017年2月5日(日)京都11R
サラ系3歳オープン 別定
芝右1,800m 8頭 15:35発走
【予想】
◎ 5 プラチナヴォイス
○ 4 ダンビュライト
▲ 6 エスピリトゥオーゾ
☆ 3 タガノアシュラ
【買い目】
三連複 4-5-6 100円
サトノアーサーの倒し方。
この一週間、暇さえあればそのことばかり考えて続けてきました。
圧倒的一番人気の馬が出てくると、穴党の私としては、その倒し方を考えずにいられません。
前走、1,000mまでハロン13秒台を3回も刻む超スローペースから32.7秒の上がりで3馬身差の完勝。
これほど倒しがいのある強敵もなかなかいません。
昨年のスプリンターズSでビッグアーサーが馬券外に沈んだ結果、2-3-9番人気でも三連複4万馬券という異常な高配当。
それを100円一点買いで当ててからというもの、いわゆる
「一本かぶり」
のレースは、私にとって格好の狙い目のレースとなりました。
基本的に一本かぶりになればなるほど、どれだけ能力の高い馬だとしても、過剰人気は避けられません。
その強さは十二分に認めても、馬券を買うには値しない馬になってしまうのです。
逆に、2番人気以降の馬券が不当に低評価となりますので、期待値に従って網を張るには価値のある馬券となる。
単勝に何十万、何百万円も突っ込める大金持ちならいざ知らず、とりわけ私のように少額出資を信条とする者にとっては、一本かぶりの馬は高配当を作り出すための体のいい広告塔、集金係となるのです。
昨年のスプリンターズSにおけるビッグアーサーと同様、サトノアーサーが1枠1番に入ったとき、サトノアーサーを切る決心が固まりました。
後ろから行く馬ですので、圧倒的人気でマークがきつくなるあまり外から被されて前が壁となり、先行馬が残る展開を期待します。
そしてあとは「運を天に任せる」のみです。
というのも、馬場が稍重だった新馬戦では反応がいま一つで、1着とはいえスズカフロンティアとハナ差もつかない同着。
そのスズカフロンティアが萩S(7着)、ベゴニア賞(10着)と凡走していますので、さしものサトノアーサーでも道悪適性には疑問符がつきます。
奇しくも5日の京都は雨の予報。
文字通り「天」の配剤が勝敗を分けるかもしれません。
加えて、人の不幸を喜んではいけないものですが、1月8日の落馬重傷から復帰する川田騎手にもやはり不安がないとはいえません。
「もっと時間がかかると思っていた」
と自ら述懐する復帰を無理してでも早めたのは、サトノアーサーに対する並々ならぬ期待の表れとも取れます。
ただ、単勝1倍台というガチガチのオッズに賭けるのならば、鞍上にも万全の状態でいてほしいものです。
さて、サトノアーサーを馬券から外す決心がついたところで、本命探し。
1番人気が抜けている場合、人気馬を絡めても充分な配当を見込めますので、ここは期待値の高さから素直に◎プラチナヴォイス、○ダンビュライトが決まります。
そして配当に弾みをつける穴馬には、▲エスピリトゥオーゾを挙げます。
先行した場合に(0-2-1-1)なので前残りが期待できますし、差しでも1勝を挙げている、自在性の見込める脚質。
おまけに前走は稍重で1着、3走前に重馬場で2着(いずれも舞台は京都2,000m)と、道悪に強そうなのも魅力です。
☆タガノアシュラほど課題がはっきりしている馬も、なかなかいないかもしれません。
逃げ先行して2戦2勝、後ろに控えて2戦とも着外。
いずれも少頭数で勝っていることを考えれば、今回の頭数で取るべき戦法は明らかです。
サトノアーサーが負ける前残りの展開を期待するならば、是非とも入れておきたい馬です。
しかしながら、成績にムラがあるのも事実。
短期放牧明けの初戦、走る気になってくれるかどうかが未知数なので、1点買いで勝負するには(配当的にも)やや妙味が薄い印象です。
「三振かホームランか」
という馬、個人的には大好きなんですけどね。
競馬メモ編集のススメ(2)
今週は私なりの「競馬メモ」の作り方について、詳しく説明していきます。
注目すべきは以下の5項目です。
(1)馬の個性(癖、気性、走り方)
(2)馬の適性(芝ダート、道悪、距離)
(3)故障の回復状況
(4)脚質とレース展開について(こうなればいい/こう走る)
(5)そのレースが目標かどうか
たとえば、東京新聞杯に出走予定のプロディガルサン。
3日(木)夜の段階でYahoo! ニュースに出てきたコメントを私なりにまとめると、以下のようになりました。
***
◆プロディガルサン
▽先週の白富士Sを除外されてのスライド参戦
国枝調教師
「前走の菊花賞(GI・11着)は良い感じで流れましたが、
前が開いて上がって行ったら詰まってしまい、
それでひと伸びができませんでした」
▽「前走後は体調を少し崩しましたので、放牧で立て直しました」
▽「放牧を挟んで馬体が増えた」
▽「今回は新馬戦以来のマイル。その対応がカギだが、古馬相手でも」
「新馬戦(勝ち)以来の東京(芝マイル)も問題ない」
「1600メートルは(広い)東京コースならいい」
▽「スラッとした体形で長いところを目指してきた馬」
▽「これまでこちらが思う通りの実力が発揮できませんでしたが、
終いの脚が生きる競馬をしてほしい」
田辺騎手
▽「(前走は)2周目の向こう正面で狭いところに突っ込んだら力んでいた」
「先週のレースを予定していただけに仕上がっています」
▽「マイルはやってみないとわからない」
▽「少しかかる面もあるのでその点が軽減されれば」
▽「まだ緩さもある」
「スタートからうまく流れに乗れるかどうか」
***
以上です。
見やすいように、マイナスの要素には▽印を付しています。
それでは、このメモに基づいて5項目をチェックしていきます。
(1)馬の個性(癖、気性、走り方)
田辺騎手のコメントから、あるいは馬混みが苦手かもしれません。
少しかかる面もありそうです。
(2)馬の適性(芝ダート、道悪、距離)
陣営は芝のステイヤータイプと捉えているようです。
実際、ここ4走はすべて2,000m以上の長距離。
新馬戦で東京芝1,600mを勝っているとはいえ、距離に不安が残ります。
(3)故障の回復状況
前走後に「少し体調を崩した」とあります。
その快復状況がどの程度のものなのか。
現在の体調は、紋切り型の「いいよ」とのコメントしか届いていないので測りかねます。
が、少なくとも3ヶ月半の休み明け、競馬勘については鈍っている可能性が捨てきれません。
馬体も必要以上に増えてしまっているおそれがあります。
(4)脚質とレース展開について(こうなればいい/こう走る)
脚質や馬の気性から「レース展開に注文がつく馬」というのがいます。
プロディガルサンの場合、先行したレースもありますが、狙っているのは差しの形であることがコメントから読み取れます。
陣営は「ある程度流れてくれれば」と踏んでいるようです。
基本的に現代の競馬は、先行有利だと考えています。
差しを選択する場合、ある程度ペースが流れてくれないことには、前の馬に脚を残されてしまうからです。
最後の直線で他馬をごぼう抜きにする豪快な末脚は見た目も魅力的ですが、差しは基本的には受け身の作戦。
少頭数でこれといった逃げ馬も存在しない今年の東京新聞杯。
ペースが流れるかは疑問です。
ただし、プロディガルサンの過去5走を見てみると、すべてスローペース。
展開に恵まれず、本来の力が発揮できていないことがわかります。
序盤が流れると予想する場合、不当に人気が低いようなら、検討する余地はありそうです。
(5)そのレースが目標かどうか
厩舎コメントで私がいちばん気にしているのが、この観点。
先週の根岸Sで勝ったカフジテイク陣営が漏らした本音が象徴的です。
カフジテイク 湯窪調教師
「ここで結果を出さないとダメ。悪くても2着には…。勝負駆けになります」
「前走叩いて、ここを目標に」「ここがメイチ」「ここが勝負駆け」
といった強気のコメントが出てきたら、私は評価を一段階上げます。
競馬には、休み明けの馬もいれば叩き2走目、3走目の馬もいます。
また、大舞台に向けたステップレース(叩き台)として使う馬もいれば、確実に賞金を加算したいという思惑で出てくる馬もいます。
先週のカフジテイクなどは賞金も足りておらず、フェブラリーSの優先出走権が何が何でも欲しいという典型的な例でした。
とはいえ、AJCCのタンタアレグリアのように、明らかな叩き1走目で実力と好騎乗によって勝ってしまう馬もいるので、一概にはいえませんが。
ダービー、セントライト記念、菊花賞と使っているプロディガルサンにとっては、ここは休み明け、仕切り直しの一戦。
まだまだ未来のある4歳、全兄にリアルスティールを持つ良血馬でもありますので、今後も大きなところを狙っていそうです。
強気なコメントが出てこないのが寂しい気がします。
ただし、大きいところを目指す馬だけに、軽視は禁物。
不当に人気が出ていなければ、もしかしたら検討に値する馬かもしれません。
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競馬小説の最前線は、間違いなくこの人
読書好きの人以外にとっては、
「なんじゃそりゃ」
というニュースかもしれませんが、2月1日、講談社より、第38回吉川英治文学新人賞の候補作が発表されました。
その中で、ぜひ競馬ファンの人たちにも読んでいただきたい作家がいます。
『ミッドナイト・ジャーナル』でノミネートされた本城雅人氏です。
世紀の大誤報を打って離散した記者たちが、それでも真実を求めて奮闘する社会派エンタメ。
ちょっといつもより仕事を頑張ってみたくなる、不思議な活力に満ちた作品です。
元サンケイスポーツの記者として競馬も取材していたというだけあって、彼は優れた競馬小説をいくつか書いています。
『偽りのウイナーズサークル』(徳間文庫)は馬の誘拐未遂事件と、騎手の変死事件が複雑に絡み合ったミステリー。
意外や意外、大胆なトリックで驚かせてくれます。
あのトリックの大胆さは、岡嶋二人氏以来かもしれません。
読後にカバーの写真を見返してみると、その含意にも気づけるかもしれません。
そして私が最近読んだのは『サイレントステップ』(新潮社)です。
「週刊Gallop」に連載されていた作品のようですので、そこで読んでいた方もいらっしゃるかもしれません。
武豊騎手も帯にコメントを寄せているこの一冊、ラストはグッと涙がこみ上げてくる感動作でした。
レース中の落馬事故で騎手の父を失った息子は、その死の真相を探るべく騎手となる。
しかし物語は予想もつかぬ方向に展開していきます。
厳しい勝負の世界、取材者の苦労、そして名門厩舎のセカンドジョッキーであり続けた父の真情……。
いやはや、個人的には『ミッドナイト・ジャーナル』よりも楽しめた名作でした。
根岸S/シルクロードSの結果
「ここで結果を出さないとダメ。悪くても2着には…。勝負駆けになります」
根岸S、カフジテイク陣営の言葉は偽りなく、本気の表れでした。
【根岸S 予想】
◎ 3 カフジテイク → 1着
○ 1 ブルミラコロ → 11着
▲ 16 ノボバカラ → 16着
☆ 11 タールタン → 14着
【シルクロードS 予想】
◎ 5 ソルヴェイグ → 6着
【当メルマガの収支】
+9,520円
根岸Sはミドルペースから前が止まる展開になってしまい、馬券的にはさっぱりでした。
それにしてもカフジテイク、物凄い末脚でしたね。
芝かと見紛う上がり最速34.5秒。
1頭だけ抜きん出て見えました。
有力馬が回避を表明するなか、フェブラリーSでも一気に有力馬の1頭に躍り出ました。
あと克服すべきは距離でしょうか。
シルクロードSのほうは、ソルヴェイグが勝負を仕掛けての6着だと受け止めています。
ハナを主張する馬がいない中で、押し出されるようにネロと競ってハナへ。
その時点で負けは覚悟しましたが、11着と崩れた1番人気のネロに対し、6着まで粘ったソルヴェイグは立派。
松浦助手
「中間は減った体も戻って、今は480キロぐらいある」
「半分は体が戻った分で、半分は成長分」
この言葉を信じて+18kgでも推しましたが、結果的には重め残りだったのかもしれません。
ただ、ここは4ヶ月の休み明け、叩きの1戦。
次回は今回ほど人気にならないことを祈って、引き続き注視していきたいと思います。
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根岸S 三連複一本勝負
2017年1月29日(日)東京11R
サラ系4歳上オープン 別定
ダ左1,400m 16頭 15:45発走
【予想】
◎ 3 カフジテイク
○ 1 ブルミラコロ
▲ 16 ノボバカラ
☆ 11 タールタン
【買い目】
三連複 1-3-16 100円
時は幕末。
慶応2年(1866)、当時の神奈川県横浜市(現在の中区根岸台)に、日本初の常設洋式競馬場が建設されました。
横浜競馬場です。
同競馬場では昭和17年(1942)まで競馬が施行されていたといいます。
本日、東京競馬場で行なわれる根岸ステークスは、その所在地名に由来するレース。
いわば、日本の西洋競馬の発祥地を顕彰する――ということでしょうか。
昭和62年(1987)に創設され、今年で31回目。
じつはJRAのダート重賞では3番目に古い歴史を持つレースなのだそうです。
ところで、慶応2年といえば、ペリー来航からわずか13年。
徳川慶喜が大政奉還する1年前で、日本ではまだサムライが腰に刀を帯びていた時代です。
そんな時代によく競馬場ができたものだ――と驚くほかありません。
現在、同レースの1着馬には、G1フェブラリーSの優先出走権が与えられます。
それだけに、フェブラリーSを本番と見据えている陣営は、何が何でも勝ちにくる、あるいは賞金を加算しにくるレースでもあります。
だからこそ軸馬として1~3番人気の中から挙げたいのが◎カフジテイク。
「ここで結果を出さないとダメ。悪くても2着には…。勝負駆けになります」
「今の充実ぶりでG1に出したいので、何とか2着以内に入りたい」
湯窪調教師のコメントにも力が入ります。
前走のチャンピオンズCでは、4コーナーでは15頭中15着でしたが、最後の直線で上がり3ハロン36.0秒(メンバー中2位)の末脚を爆発させて0.2秒差の4着。
3着アスカノロマンとはクビ差で、東京大賞典を勝った(そして禁止薬物が検出された)5着アポロケンタッキーに1と1/4馬身差をつけて勝っています。
去勢手術明け後さっぱりしない素質馬ノンコノユメ、昨年のフェブラリーSの覇者モーニンにも勝っているわけですから、カフジテイクの実力は折り紙つきです。
しかも前走は少し長い1,800m。
今回はベストの条件、東京1,400mに戻りますので、3着までに入ってくる確率は高いと思われます。
その次に上げたい中穴の馬は、○ブルミラコロ。
デビューから(5-5-1-1)と、過去12戦で1度しか複勝圏内を外していません。
唯一の着外も休み明けで、勝ち馬ガンジーと0.3秒差の4着ですから、掲示板は確保しています。
しかも距離適性があるのか、過去の出走レースはすべて1300~1400m。
自在性のある馬ですが過去5走は逃げ・先行を選択していますので、1枠1番は絶好の位置と見ます。
初のオープン挑戦で一気の相手強化となりますが、まだ底を見せていないだけに、一発を期待したいところです。
最後に推したいのが▲ノボバカラ。
本当は内枠に入ってほしかったのですが、大外8枠16番となったので、割り引いて▲にしました。
前走の兵庫ゴールドTは大外枠を引きながらも先行して3着だったので、枠にそれほど不安はありません。
しかも今回は斤量1kgの減。
「内でフタをされるより、中から外めの枠でうまく運べれば」
「モマれずにスムーズに先行できれば……」
「内に入ってフタをされてしまうと、気分を害することがあります」
「2、3番手からでも競馬ができますからハナにこだわる必要ない」
天間調教師のコメントを読むと、内枠に入るよりむしろ外枠のほうがよかったかもしれません。
他に☆は、昨年の根岸Sの2着馬タールタン(モーニンとはわずか0.1秒差)。
前走(カペラS5着)はスタートの芝部分で置かれてしまう展開でした。
ダートスタートとなる今回は得意と見ます。
9歳の衰えが心配ではありますが、一昨年のエアハリファ、昨年のモーニンと、外国産馬が活躍している根岸S。
かつて幕末に日本人を驚かせたように、外国産馬の速さを見せつけてくれれば……と思います。
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根岸ステークスと外国人騎手
時は幕末。
慶応2年(1866)、当時の神奈川県横浜市(現在の中区根岸台)に、日本初の常設洋式競馬場が建設されました。
横浜競馬場です。
同競馬場では昭和17年(1942)まで競馬が施行されていたといいます。
今週末、1月29日(月)に東京競馬場で行なわれる根岸ステークスは、その所在地名に由来するレース。
いわば、日本の西洋競馬の発祥地を顕彰する――ということでしょうか。
昭和62年(1987)に創設され、今年で31回目。
じつはJRAのダート重賞では3番目に古い歴史を持つレースなのだそうです。
ところで、慶応2年といえば、ペリー来航からわずか13年。
徳川慶喜が大政奉還する1年前で、日本ではまだサムライが腰に刀を帯びていた時代です。
そんな時代によく競馬場ができたものだ――と驚くほかありません。
そこら辺の詳しい経緯を書いていくと歴史の参考書みたいで堅苦しくなってしまうので、ご興味のある方はこちらをお読みください。
“幕閣小栗忠順に仕える富樫裕三郎には悲願があった。
故郷三春に残してきたりんとの恋、そして本邦初の競馬場の建設であった。
小栗の従者として渡米後、横浜外人居留地に下宿し、小栗の耳目となる。
そんなある日、外人主催の競馬に飛び入り参加した裕三郎は、思いがけず優勝する。
幕末の動乱に巻き込まれていく一青年を通して、日本競馬の曙を活写する幕末秘史!”
(カバー裏表紙のあらすじ紹介文より)
小説ですので、すらすらと楽しんで読むことができます。
歴史の授業で習った「生麦事件」が、じつは競馬・乗馬を楽しむ横浜居留地の外国人たちが遠乗りした結果に起こったものだとか、浅学ながら新しい発見も多くありました。
生麦事件の生々しい描写ひとつとっても、非常に優れた小説です。
この本を読むと、日本の競馬はつくづく外国人の努力に支えられて築かれたのだということがわかります。
そもそもサラブレッドが舶来の血統なのだから、当たり前といえば当たり前ですが。
ジャパンカップでも1981年の創設から3年間、日本馬は外国馬に勝てずにいました。
その辺りの事情は、競馬ゲーム『ウイニングポスト8 2016』でも描かれています。
2017年版はどんな感じになるか、楽しみです。
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ところで、東京競馬場のスタンドなどに座っていると、
「ガイジン騎手が強すぎてつまらない」
といった声をときどき耳にします。
ルメール・デムーロ両騎手がJRAの通年免許を取得してからというもの、中央競馬の様相はガラリと変わりました。
「ルメール・デムーロの馬連だけ買っておけばいい」
なんて声も聞こえるほどです。
こういう声を聞いていると、了見が狭いというか、そもそも我々が熱狂しているのが西洋競馬だということをご存じないのかと疑ってしまいます。
そもそも「ガイジン」という呼び方が排他的で、個人的にあまり好きではありません。
翻って、日本の国技といわれる相撲では、長らく日本人横綱の不在が嘆かれてきました。
このほど稀勢の里が横綱昇進確実とのことで、19年ぶりの日本人横綱誕生が話題となっています。
私は相撲に関してはまったくの門外漢ですが、初優勝でいきなりの横綱昇進は時期尚早ではないかと感じています。
他に日本人横綱がいたならば、これほど早く運ばなかったかもしれません。
実際、連勝記録が伸びてきた頃に白鵬の取り組みを両国国技館で観戦したことがありますが、素人目にも格の違いが明らかなほど強いと思えました。
いかに国技とはいえ、この国際化の時代、日本人/外国人をうんぬんするのは意味を成さないのではないでしょうか。
同じアスリートとして対等にリスペクトし、ときには技を盗むことも競技の発展につながるのではないか。
競馬の場合も同様で、ルメール・デムーロ騎手の騎乗から学べることが、日本人騎手にもファンにもたくさんあるのではないかと思います。
彼らを西洋競馬のトップジョッキーとしてリスペクトし、その巧みな技を見て学び、感嘆し、あわよくば馬券で勝って美味しい想いをする。
それがひいては競馬の発展につながるのではないかと思います。
根岸ステークスは、1世紀半続く日本の競馬史に想いを馳せる一戦でもあります。